KTMを作る「人」とは

KTM2011オフロードモデルのプレゼンテーションは、KTMでオフロードモデルの開発統括を勤めるヨヒム・サワー氏によって始まった。「じつは今回の350SX-Fは僕にとって初めての350ccモデルじゃないんだ。一番最初はLC4(KTM初の4ストロークエンジン。1994年に登場)のプロトタイプで乗ったからね。僕は実に350ccに縁があるんだ。とても光栄だよ」とにやり。実はヨヒムは自身境選手権エンデューロの125ccクラスでチャンピオンを獲得したことがある名ライダーである。
 
KTMには、こうしたライダーが実に多い。現在は事務や開発を担当しているが、ちょっと前までヨーロッパ選手権や世界選手権で活躍していたという人が実に多いのだ。しかも、どのライダーも根っからのバイク好きだ。仕事だから乗る、開発するって言うのではなく「次のバケーションは南米に990ADVENTUREで行くんだ」なんて人までいる。
 
モーターサイクルはもちろん、POWER PARTS、POWER WEARなどのアクセサリーまで、KTMのつくる 製品には手に取ると思わずニヤリとしてしまうような気の利いたものが多いのはそうした社風によりモノだ。みんなバイクが大好きで、KTMが大好き。休みの日にまでKTMのウエアを着てKTMに乗って遊んでいるんだから。このブランドの求心力というのはハンパじゃないのだ、。
 
動きが早いこともKTMの特徴の一つ。MOTOGPライダー、青山博一がKTMに移籍したばかりの頃に「こういうフレームが欲しいというと、来週にはもう数種類持ってきてくれている」とコメントしていたが、ライダーの求める要求、マーケットの声にこたえる反応はじつに早い。ヨーロッパ最大のオフロードイベントである「エルズベルグロデオ」でビッグバイクのクラスが始まったときにはあっという間にKTM950SUPERENDUROを作って走り、優勝まで飾ってしまうほど。いいと思うこと、優れていると思われることには失敗を恐れず挑んでいくメーカーなのだ。